あらゆる可能性を信じて(All Possible Paths): リチャード・ファインマンの好奇心あふれる人生あらゆる可能性を信じて(All Possible Paths): リチャード・ファインマンの好奇心あふれる人生

さらに数多くの新たな発見へ


さらに数多くの新たな発見へ
リチャード・ファインマンの肖像イラスト

リチャード・ファインマンの才気あふれる精神と驚くほどの好奇心は、世界中の科学者に影響を与えてきました。1965年の自身のノーベル賞受賞にとどまらず、彼から教えや影響を受けた多くの人々がノーベル賞を受賞しています。

展示の最後のセクションでは、その人柄によっても人々に影響を与えたファインマンの人となりについて紹介します。同僚の科学者から、彼の回りにいた人々、そしてシベリアのトゥヴァと呼ばれる地域の喉歌(ホーミー)の歌い手まで、多岐に渡ります。

リチャード・ファインマンの、あらゆる可能性を信じて突き進むその意欲が遺産となり、世代を超えた科学者、技術者、教育者、学生の仕事にどのようにインスピレーションを与え、生きづいているかを示しています。

見どころ
ファインマン ダイアグラム
新型パルサー、アニメーション

ファインマン ダイアグラム

ファインマンが物理学者に与えた影響の1つに、ファインマン ダイアグラムの開発が挙げられます。このダイアグラムは、微視的な世界での作業における視覚的な辞書として機能し、科学者が複雑なアイデアを視覚化することを助けます。

ノーベル賞受賞者であるフランク・ウィルチェック(Frank Wilczek)が描いた一連のオリジナルのファインマン ダイアグラムからも、ファインマンの物理学への影響を見て取ることができます。

このダイアグラムは過去50年間にノーベル物理学賞を受賞した複数の科学的な発見をも表現しています。

今回の展示のために用意された特別なアニメーションでは、ファインマン ダイアグラムを活用して、私たちの宇宙の理解を助ける発見の数々を鮮やかに描き出しています。

トゥヴァを巡る旅
トゥヴァの祝祭 | 2018年、ビデオ提供:OVAA Media

トゥヴァを巡る旅

幅広い好奇心を持つリチャード・ファインマンは、他の科学者の中でも際立つ存在でした。熱心な音楽家であり、感性豊かな画家であり、魅力あふれる教師であり、そして悪名高いいたずら好きでもあったファインマンの興味は、さらにソビエト共和国のトゥヴァへも向けられます。

人生を通して、ファインマンはトゥヴァの文化と人々を熱心に研究し、そこを旅することを夢見ていましたが、冷戦時のアメリカ人にとってそれはほぼ不可能なことでした。ファインマンのトゥヴァを訪れる試みは、色々な意味で彼の新たな発見を求める尽きることのない好奇心の象徴でもありました。

それゆえ、ファインマンの遺産がトゥヴァに息づいているというのは至極当然のことです。2018年5月、トゥヴァの人々はファインマン ダイアグラムを岩に彫り、特別な儀式を行ってファインマンを彼らの土地にとって欠かせないものとしたのです。展示の最後のセクションではシャーマンがファインマン ダイアグラムに祝福を与え、2つの音を同時に発する「喉歌(ホーミー)」と呼ばれるテクニックを用いた歌い手たちが歌を捧げるセレモニーの貴重な映像をご用意しています。

トゥヴァのクズル市長も5月11日を「リチャード・ファインマンの日」と宣言しました。