シンガポールのアートサイエンスミュージアムの夜間ライトアップシンガポールのアートサイエンスミュージアムの夜間ライトアップ

光と空間

光と空間

ドナルド・ジャッドのようなミニマリズムのアーティストの作品では、作品である物体とその空間における位置が極めて大きな意味を持ちます。物理的な形状と作品の存在によって、観客の注意を自由に操ります。

1960年代および1970年代にミニマリズムと並行して起こったライト・アンド・スペース・ムーブメントに連動したアーティストたちによって、ミニマリズムの異なる解釈が模索されました。こうしたアーティストたちもまた同様に、作品内の審美性を最低限に抑えていましたが、インスタレーション、ギャラリーの空間、光のような無形のエレメントを使用することにより重点を置きました。彼らの関心は、物体としてのアートから観客の個人的な体験へとその軸を移していきました。芸術家たちの創り出す、没入感のある明るく輝く環境が、見るという知覚体験を探索する空間となりました。彼らの作品はシンプルな色とりどりの光を用いて、ミニマリズムが非物体的な手段で表現する方法を同時代の多くのアーティストに示しました。これはミニマリズムのシーンにおける現代のアーティスト・エンジニアであるオラファー・エリアソンの今回の作品にも見られます。

出展アーティスト: オラファー・エリアソン
注目の作品
Seu corpo da obra(Your Body of Work)、オラファー・エリアソン(2011年)
オラファー・エリアソン、Seu corpo da obra (Your body of work) 2011年、インスタレーション: ストックホルム近代美術館 2015年
写真: アンデルス・スーナ・ベルク

Seu corpo da obra(Your Body of Work)オラファー・エリアソン作(2011年)

透明プラスチックシート、木、スポットライト
寸法は変則的

オラファー・エリアソンの作品ではアートとサイエンスが衝突します。彼の多岐にわたる活動には、光と色の知覚を探求する目の眩むようなインスタレーションや彫刻などがあります。この作品はナショナル ギャラリー シンガポールで展示されているロバート・アーウィンやジョン・マクラッケンのようなライト・アンド・スペースアーティストによるミニマリズムの実験に続くものです。

エリアソンの作品では、光や空気など自然の要素が多く用いられます。彼は、観客の体験や空間の中でものを見る方法を重視し、それによって、私たちがこの世界にどのように存在しているかという深い考察を促しています。このギャラリーでは、天井から半透明の色付きシートが吊り下げられた迷路内のさまざまな空間をビジターが彷徨い、場所によって変化する色のレイヤーを体験できます。

エリアソンの初期の作品、Room For One Colour (1998年)はナショナル ギャラリー シンガポールで展示中です。