シンガポールのアートサイエンスミュージアムの夜間ライトアップシンガポールのアートサイエンスミュージアムの夜間ライトアップ

紹介

紹介
仏教の禅などのアジアの哲学は、東西のミニマルアーティストに深い影響を与えてきました。アートサイエンス・ミュージアム3階の展示場入口に設置されている2点の作品は、日本の禅において聖なる象徴のひとつである、水墨で描かれた「円相」と呼ばれる円に着想を得た作品です。禅における「円相」は、悟りや強さ、そして「空」や「無」の象徴です。

注目の作品
「+ and –」 by モナ・ハトゥム(1994–2004)
General Purchase Funds、2007年、オルブライト=ノックス美術館(ニューヨーク州バッファロー)収蔵

「+ and –」 by モナ・ハトゥム(1994–2004)

スチール、アルミニウム、砂、電動モーター、27 x 420 x 420 cm

展示会場中央に設置されたモナ・ハトゥムによる円形の彫刻作品は、日本の禅の庭をモチーフにしたものです。1979年から始まる初期の作品を基に、「+ and –」では創造と破壊のプロセスを機械的に表現しています。本作品には750kg以上の砂が使われており、毎分5回の速度で回転しています。繰り返される弧を描く動きと催眠作用のある音声が、存在と不在、すなわち有と無を連想させます。

「円相」 by チームラボ(2017)
Ikkan Art International(シンガポール)提供

「円相」 by チームラボ(2017)

デジタル作品、18分30秒(ループ)

日本のデジタルアート集団であるチームラボが生み出した、21世紀のデジタル版「円相」。なめらかに円が出現し、その後ゆっくりと「無」に溶け込んでいきます。仏教では伝統的に、僧侶が瞑想の修行の一環としてこのような水墨画を学ぶことがよくあります。僧侶が精神を静めてから筆を取り上げ、一筆で一気に完全な円を描きます。これが「円相」です。完全な円を描くのはほとんど不可能ではありますが、このゼロもしくは無の芸術的表現は見る者を深い瞑想へと誘います。