『ディスプレイ&ディスラプト』は、大規模なイベントにおけるエアーディスプレイの役割を、歴史を通して探る展示です。米国では1920年代を皮切りに、メイシーズ・サンクスギヴィング・デイ・パレードをはじめ、大規模な商業パレードに巨大なエアーディスプレイが登場するようになりました。旧ソ連では、1930年代以降、国家パレードにエアーディスプレイが登場します。米ソ両国で、エアーディスプレイはプロパガンダツールとして活用されてきたのです。現代では、シンガポールで毎年開催されるナショナル・デイ・パレードをはじめ、国家祝賀行事にエアーディスプレイが登場することはごく一般的になりました。
また、『ディスプレイ&ディスラプト』展では、1960年以降、アーティストが草の根運動の手段として、いかにエアーオブジェを活用してきたかについても見ることができます。アーティストは、エアーオブジェを通して「日常への介入」を試みてきたのです。つい触ってみたくなるような、ふんわりしたエアーオブジェを都心に設置することでインタラクションが生まれ、オブジェを中心に遊び空間やコミュニティスペースが形成されます。スペースを占める巨大なインフレータブルアートは、日常空間に変化をもたらすだけでなく、公私空間の境界を一時的に曖昧にする効果もあるのです。
出展アーティスト: ドーン・ン、フランコ・マッケリ、アルトゥール・バン・ベーレン