2019年5月25日〜2019年9月29日
『天空のユートピア』展は、遊び心あふれるポエティックな展覧会です。エアオブジェクトの歴史をたどりながら、これまでにエアオブジェクトがアートや建築として、また社会行動においてどのような役割を果たしてきたのかを探ります。
世界で初めて熱気球が天空に舞い上がった18世紀以降、エアオブジェクトは人々の想像力を刺激し、天空に浮かぶ城、空中ラボ、雲上の街など、様々なユートピアのイメージを生み出してきました。『天空のユートピア』展では、エアオブジェクトが私たちの集合的想像力に影響を及ぼし続けるその影響力にフォーカスしています。本展では、時代を問わず国内外のアーティスト達による作品40点以上が一同に介し、展示されています。中には体験型ワークショップもあればて展示、過去の作品と現代の作品を並べて展示しています。体験型ワークショップや都市デザインに組み込まれたインターベンションアートもあります。
エアオブジェクトが体現しているのは、その変幻性 - 形のない素材が、突如としてその場の空間を占める物体に変化する、その力そのものです。軽くて持ち運びも簡単、柔らかな素材の特性が、人々の注目を集め、感嘆させるのです。
『天空のユートピア』展では、エアオブジェクトが如何に新たな技術の可能性の扉を開いてきたか、歴史を通して探っていきます。熱気球の発明により人類は初めて地上を離れ、上空から遠く地球を見下ろすという体験をしました。この画期的な新発明が如何に私たちの世界を変え、そこに生きる私たちの理解を塗り変えたかを『天空のユートピア』展を通して見ていきましょう。また、本展示では、20世紀初頭の社会主義者や資本主義者たちによるマスパレードや、1960年代の新進気鋭の建築家たちが新しい生活様式へのアプローチとしてエアオブジェクトをどのように利用してきたかについても見てまいります。さらには、我々人間と環境との関係性を再考する上で、エアオブジェクトが果たす役割とポテンシャルについても考察していきます。
エアオブジェクトの存在価値は、私たちの娯楽だけではありません。公共スペースの再生やコミュニティーの構築促進などにも大きな役割を果たしているのです。その不定形で刹那的なその存在は、既存の権力構造に対抗し、すべては一時的な存在であることを思い出させてくれます。
シンガポールで開催される『天空のユートピア』展は、アーター・ヴァン・ベーレン、ファビアラー・ビアホフ、アナー・ホートジェズ、アートサイエンス・ミュージアムによる共同展となります。
アートサイエンス・ミュージアムでは、『天空のユートピア』展のオープニングプログラムの一環として、2019年5月25日にマリーナ湾のウォーターフロントプロムナードで、一般の方にご参加いただけるサイトスペシフィックな実験的パフォーマンス『Signals 2.0』を開催しました。
アーティストグループからはトーマス・エスピノーサとアーター・ヴァン・ベーレン、Tools for Actionが参加。振付師スーザン・セントラーとのコラボレーションによるこのユニークなナイトパフォーマンスでは、22個のポータブルなエアオブジェクトライトを使い、公共の場での集いと集団でのコミュニケーションの新たな形を探りました。ラサール芸術大学でダンスと演劇を専攻する学生と卒業生、マクナリー・スクール・オブ・ファインアーツの学生と卒業生が、ウエアラブルな光のオブジェクトを通して互いにコミュニケーションを取り合いました。
『天空のユートピア』展を世界ツアーに送り出すべく、2018年にアーティストとキューレターの団体がアムステルダムでStichting Floating Utopias (SFU)を発足させました。この財団は、ユニークなのにあまり知られていないエアオブジェクトの社会的影響を明確に示すことを目指しています。展示ツアー、教育プロジェクト、アーカイブの充実などにより、SFUは、エアアート、アーキテクチャ、デザインの文化的な歴史と革新的なパワーを紹介しています。
当初の展示は、アーター・ヴァン・ベーレン、ファビアラー・ビアホフ、アレキサンダー・ダンスト、アナー・ホートジェズ、ヤンティーン・ローゼンバーグ、ハンナ・ジンデルが企画しました。現在のSFUによるプロジェクトや展示は、アーター・ヴァン・ベーレン、ファビアラー・ビアホフ、アナー・ホートジェズが企画運営を行っています。