展示
Frida Kahlo: The Life of an Icon
「Frida Kahlo: The Life of an Icon」は、フリーダ・カーロの人生と作品を紹介する没入型エキシビションです。フリーダ・カーロは、不屈の精神と生命力を感じさせる自画像で広く知られる、極めて強い影響力をもつ20世紀の女性アーティストの一人です。
8つのテーマで構成されたスペースで、フリーダ・カーロの生涯を体感してみませんか。写真、映画、デジタルアート、インタラクティブなインスタレーション、360度プロジェクション、鑑賞者が創造力を発揮できるアクティベーションスペースを通してフリーダ・カーロの多面性に触れることで、フリーダ・カーロのエピソードをより深く味わえるようになります。
展示を鑑賞して歩きながら、フリーダ・カーロの情熱、才能、彼女が乗り越えてきた数々の逆境を知り、カーロの生涯にとって何よりも重要で、鮮烈で、インスピレーションに満ちた時期に完全に没入する心構えを高めましょう。
このエキシビションはフリーダ・カーロの数奇な人生を称え、多くの人々にインスピレーションを与え続けている、忍耐力、反逆心、勇気をもった才能ある女性に敬意を払うものです。
入場時間
(最終入館時間:午後6時)
金、土:午前10時~午後9時
(最終入館時間:午後8時15分)
展覧会の概要
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The Altar
メキシコの伝統では、「オフレンダ」としても知られる祭壇(英語ではaltar)は、「死者の日」に欠かせない要素です。死者の日は一般的に10月31日から11月2日まで祝われるお祭りで、この期間には、亡くなった大切な人の魂が生きている家族と再会するとされています。祭壇は亡くなった人々がかつて生きた人生を敬い、祝うものです。
祭壇は家族によって異なりますが、水、ろうそく、花(特にマリーゴールド)、果物、しゃれこうべの形をした砂糖菓子のほか、伝統的なシチューや故人に関連する品などが供えられ、どれも死者の魂を家へ迎え入れるために使用されます。祭壇の上部には、すべてを司るように故人の写真が置かれます。また、祭壇を華やかに飾るために「パペルピカド」という飾り切り絵が使用されます。生と死の世界間を結ぶ門を意味する花のアーチが使用されることもあります。
展示作品
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アートサイエンス・ミュージアムの「The Altar」の展示風景。アートサイエンス・ミュージアム提供。
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The Accident
1925年9月17日、フリーダは路面電車による事故に遭いました。この事故はフリーダの人生を一変させる重大な出来事でした。ここからフリーダは、自身の深い感情を表現する手段としてアートに取り組むようになります。フリーダは生涯で100点を超える作品を完成させましたが、自身の運命を変えた悲惨な事故を描いたものは1つとしてありません。
「The Instant」は、フリーダ・カーロの人生が永久に変わってしまった瞬間から着想を得たもので、その不運な瞬間にあるフリーダの身体と感情の脆さを表しています。この作品には3次元のインスタレーションを作り出す新たな投影形式「マルチレイヤー」が採用されています。これは、透明な投射層を重ねることで、被写体にボリュームがあるように見える動画を映し出すものです。
展示作品
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「The Instant」の展示風景(IDEALデジタルアートセンター、バルセロナ、2022年)。Layers of Reality提供。
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The Convalescence
路面電車による事故で辛うじて死から免れたフリーダは、長くて辛い回復への道のりに直面します。しかし、療養中でさえ、自分の痛みをアートに変えることを学びました。
母親がベッドに設置してくれた特殊なデザインのイーゼルを使ってフリーダは絵を描き始め、キャンバスを自分だけの絵日記に変えます。ベッドルームの壁に囲まれ、ベッドには自身の姿が見えるように鏡が1つかけられていました。彼女のイメージは自身の空となり、やがて多くの自画像のテーマとなります。
このインスタレーションでは生と死が出会い、膨大な作品が描かれた場所であるフリーダのベッドへと引き込まれます。「The Dream」では、誕生と死、健康と病が描かれ、命の連続的な循環とそこにある多くの困難が表現されています。
展示作品
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「The Dream」の展示風景(IDEALデジタルアートセンター、バルセロナ、2022年)。Layers of Reality提供。
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Endless Symbology
フリーダ・カーロの作品は多くの場合、彼女の個人的な生活を覗く扉として機能します。作品には彼女の周辺環境が描かれているだけでなく、シンボルやモチーフを通して、彼女の複雑なアイデンティティや独特な人生経験までもが表現されています。これには、フリーダの先祖や彼らから受け継いだもの、死や痛みとの遭遇、結婚生活での葛藤、子供を望めないことなどが含まれます。
「Frida’s Universe」は多感覚に訴えるインタラクティブなインスタレーションで、フリーダの絵に現れる最も象徴的なシンボルに触れることができます。鮮やかな色と夢の中のような風景は、見る者を遊びと探検へと誘います。
展示作品
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「Endless Symbology」の展示風景(IDEALデジタルアートセンター、バルセロナ、2022年)。Layers of Reality提供。
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La Rosita
フリーダはメキシコのラ・エスメラルダ校で美術教師としての仕事を始めると、生徒に自分たちの作品を街に持ち出し、そうすることで母国の歴史や伝統と再び繋がることを勧めました。また、その出会いを壁画に描き、人と社会を繋ぐメキシコの酒場「pulquerías」を装飾することで伝統的なメキシコの慣習を復興させることも提案しました。
「Pulquería La Rosita」はフリーダ・カーロの教え子が壁に絵を描いた酒場の1つでした。日常風景やメキシコの慣習が描かれた空間には、酒場の名前にちなんで小さなバラの花が何十本も散りばめられました。鮮やかな色合いの壁画は、教師であるフリーダが好んだ色彩から着想を得ていることが明らかです。
フリーダの肖像画に色を塗って、「Pulquería La Rosita」の装飾に参加してみましょう。この技術的かつ創作的な体験は人工知能とデジタルアートを組み合わせたもので、若者や若い心を持つ人のためのインタラクティブな取り組みとなっています。
展示作品
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「La Rosita」の展示風景(IDEALデジタルアートセンター、バルセロナ、2022年)。Layers of Reality提供。
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「La Rosita」の展示風景(IDEALデジタルアートセンター、バルセロナ、2022年)。Layers of Reality提供。
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Immersive Biography
フリーダ・カーロの生涯を描く360°のイマーシブな体験で、彼女の人生を深く知りましょう。フリーダの人生は、20世紀初期のメキシコで始まりました。彼女はこの地で幼少期を過ごし、アーティストとしてのスキルを磨き、生涯を終えました。フリーダの視点を通して彼女の個人的な世界を見て、彼女を取り巻く状況を知り、彼女と共に人生を巡り、その情熱、喜び、悲しみを体験してみましょう。
このイマーシブな体験では、フリーダのアーティストとしての成長に大きな影響を与えた、幼少期と青年期が取り上げられています。また、彼女を鼓舞し続けた人生における情熱と、自分の生徒や親戚の子供、植物、ペットへ注がれていた愛情や思いやりに見られるような、彼女の母性との悲しい関係も描かれています。このイマーシブな体験には、フリーダの個人としての人生に影響を与えた海外旅行のほか、アーティストとしての経歴、彼女を今日のアイコンにしたアーティストとしての美学と視覚的選択についても記録されています。
展示作品
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アートサイエンス・ミュージアムの「Immersive Biography」の展示風景。アートサイエンス・ミュージアム提供。
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アートサイエンス・ミュージアムの「Immersive Biography」の展示風景。アートサイエンス・ミュージアム提供。
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Fashion Icon
フリーダは自己表現の手段として絵画を使用していましたが、服装に対するアーティストとしてのアプローチはより複雑なものでした。ロングスカートや刺しゅう入りのブラウスを選び、髪には花とリボンを飾り、メキシコ人らしさを強調する手段として宝石や伝統的な衣服を身に付けましたが、同時にこれによってフリーダのバラバラになった体を隠すこともできました。彼女の外見には、メキシコ人であることに対する誇り、揺るぎない自己肯定感、生きることへの熱意が映し出されています。
そのスタイルは当時の一般的なスタイルとは大きく一線を画していたことから、1937年には「Vogue」などの雑誌の表紙を飾るようになりました。現在、フリーダの写真は国際的な出版物に掲載され、Givenchy、Jean Paul Gaultier、Valentinoといった一流ファッションブランドに影響を与えています。
展示作品
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アートサイエンス・ミュージアムの「Fashion Icon」の展示風景。アートサイエンス・ミュージアム提供。
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The Garden of Love
フリーダは愛に焦がれ続け、その人生はロマンティックなパートナーやプラトニックな友情に溢れていました。フリーダ自身には子供がいなかったものの、彼女はそのすべての愛と思いやりを、自身の甥や姪、人生で出会った子供たちに注いでいます。たくさんの植物と動物に囲まれた家で暮らしていたフリーダは、野菜の栽培や、サル、オウム、ハト、犬、猫、シカ、ワシといった動物の世話にも愛情を注ぎました。こうした動物の一部、特にサルやオウムはフリーダの自画像にも度々登場しています。
来場者はプログラミング活動に愛の願いを追加することで、「The Garden of Love」に参加することができます。
展示作品
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アートサイエンス・ミュージアムの「The Garden of Love」の展示風景。アートサイエンス・ミュージアム提供。
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Frida Forever
Laid Bare: Frida’s Inner World
「Laid Bare: Frida’s Inner World」では、フリーダ・カーロの内面を美描写します。貴重な医療文書を公開し、この伝説的画家の類いまれな女性像にスポットを当てます。
Exquisite Corpse VR体験
「Exquisite Corpse」VR体験で、フリーダ・カーロの創造力が織りなす鮮やかな世界に迫る刺激的なバーチャルリアリティアドベンチャーに乗り出しましょう。
対象年齢:11歳以上
Floral Passage: A Tribute to Frida
「Floral Passage: A Tribute to Frida」は、シンガポールを拠点とするメキシコ人のアーティスト兼キュレーター、リディア・リベロスの委嘱作品です。リベロスによる花のアーチのインスタレーションは、ホームへの温かい歓迎のシンボル。鮮やかな色は、フリーダ・カーロの生命力にあふれた精神とメキシコの遺産との深いつながりを反映しています。インスタレーションの中核をなすのは「フリーダの心臓」。多くの人々の人生に影響を与えてきたカーロの尽きることのない影響力を表現しています。このインスタレーションは、フリーダの不朽のレガシーへの心からの敬意です。
フィルム上映会
4階、アートサイエンス・シネマ
入場無料
6月は、ディズニーピクサーの「リメンバー・ミー」とフリーダ・カーロの素晴らしい人生を讃えるドキュメンタリーを無料上映を行います。
関連アクティビティ
- オープニングシンポジウム
- ガイドツアー
- ワークショップ
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「Hope and Defiance – フリーダ・カーロ オープニングシンポジウム」
5月4日(土)午後2時
4階、アートサイエンス・シネマ
チケット料金: S$10
「Hope and Defiance – フリーダ・カーロ オープニングシンポジウム」では、フリーダ・カーロの心の奥に秘めた世界に来場者を引き込み、20世紀屈指の有名芸術家の生涯、芸術、不朽のレガシーに迫ります。
本プログラムでは、カーロの研究者、ファッションキュレーター、アーティスト、エキシビションプロデューサーが登壇し、カーロの芸術的実践、イデオロギー、服装のアイデンティティが、カーロの文化的背景、ジェンダー認識、障害の体験により、どのように形成されたのかについて取り上げます。さらに、伝説的人物としてのカーロの周囲で生じたアイデア、普遍的なテーマ、感情を掘り下げ、美術界を超えて広がるカーロの多大な影響について掘り下げます。
登壇者には、シルセ・エネストローサ(ファッションキュレーター兼ラサール・カレッジ・オブ・アーツ・ファッション学部長)、リディア・リベロス(メキシコ芸術と文化のキュレーター)、ジョルディ・セラーズ(Layers of Reality CEO)などを迎えます。
詳細
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「Frida Kahlo: The Life of an Icon」と「Laid Bare: Frida’s Inner World」の英語ガイドツアー
5月7日(火)から|午後4時
B2階、展示ギャラリー
「フリーダ・カーロ」という文化現象に没入するチャンスです。教育専門家が開催する「Frida Kahlo: The Life of an Icon」と「Laid Bare: Frida’s Inner World」のツアーに参加して、このメキシコ人アーティストの生涯、作品、レガシーについて知識を深めませんか。
詳細
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ミクストメディア・ミラー: フリーダ・カーロ風反射アートのマスタークラス(DODO STUDIO提供)
7月27日
地下2階、レインボールーム
チケット料金
DODO STUDIOが提供するデッサンとミクストメディアのコラージュワークショップで、芸術がいかに自己発見と内省の手段となりうるかを探ります。
詳細
デジタルディスカバリー: Procreateポートレートのマスタークラス(講師、ステファニー・フュー)
6月1日 & 7月6日
地下2階、レインボールーム
チケット料金
デジタルアートアプリ「Procreate」を使って自分ならではのデジタルポートレートを描く方法を学びましょう。メキシコ人アーティストのフリーダ・カーロが、さまざまな斬新な表現、植物、動物を使ってよく自身を描いていた方法からヒントを得て、デジタルアートの傑作を生みます。
詳細