展示
Mars: The Red Mirror
「Mars: The Red Mirror」は火星を取り巻く12,000年の文化史を総合した最初の展示です。この展示は現代天文学に影響を与えた珍しい科学筆写本や火星を「惑星B」として提案する現代美術作品や実際の火星隕石などを展示します。古代神話から現実になるかもしれない未来への旅に出るこの展示では、地球が直面している現在の危機を直視すると同時に、これから起こりうる火星と人類の関係を想像してみます。
「Mars: The Red Mirror」様々な文化と時代にわたって火星探検を追求してきた先駆的なアジア天文学者たちのよく知られていない話を紹介し、アジア信仰における火星の存在を描写する古代遺物を展示します。同時に、この展示は現代の芸術家たちが追求する私たちの惑星の探求において、これからの希望と挑戦について一緒に議論できるプラットフォームを提供します。
「Mars: The Red Mirror」は、スペインのキュレーター、Juan Insuaと共にアートサイエンス・ミュージアムとCentre of Contemporary Culture Barcelona(CCCCB)で展示されます。
入場時間
(最終入館時間は午後6時)
チケット料金
シンガポール居住者:
大人: S$20
(コンセッション割引) S$16
観光客:
大人: S$23
(コンセッション割引) S$18
展覧会の概要
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古代文明における火星
物語の始まりは遠い昔のこと。惑星はまだ天に存在しているただの不可思議な球体で、科学的な発見としてよりも神秘的な象徴としてみられていた頃にさかのぼります。
赤い惑星、火星についての議論が始まった頃、それは宇宙そのものの始まりと同じくらい謎めいたものでした。古代文明ではこの天体に古代のエネルギーが宿っていると信じられ、遠くに存在する神とみなされ、賛美歌や叙事詩がつくられました。
人類は何世紀にもわたってこの赤い惑星に関する理解と関係を深めてきましたが、この惑星は歴史や文化を超えても一貫して戦いの神と結びつけられ、表現されています。ネルガル、マンガラ、ハルマキス、アウカクフ、アレスなど、さまざまな文化圏でさまざまな名前が付けられていますが、最も広く知られている名前はマールスです。
展示作品
4作品-
「Meteorite KG 002(破片)」、火星の隕石、ホセ・ビセンテ・カサードとダヴィード・アレプスがチュニジアのクサール・ギレン近郊のサハラ砂漠で2010年に発見、カタルーニャ工科大学化学工学部のジョルディ・ロルカ教授鑑定。カタルーニャ工科大学教授、ジョルディ・ロルカ・ピケ氏提供。
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火星の化身とされる「マールス神」を戦士として描いたブロンズ像のコレクション。
ハイライト:
1. 「ギリシャの戦士像」、ソン・ヘラベルト・ド・ダルト(スペイン、マヨルカ島リュレ・ダ・ビスタレグラ)、紀元前500年、ブロンズ。カタルーニャ考古学博物館所蔵。
2. 「マールスの胸像」、ロマン・ガウル、2~3世紀、ブロンズ。J.A.ランバート氏所蔵。リヨン美術館提供。
3. 「マールスの小像」、イタリア、エトルリア、紀元前4~3世紀、ブロンズ。J.A.ランバート氏所蔵。リヨン美術館提供。
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火星を描いた、日本、中国、インドの工芸品と絵画のコレクション。
ハイライト:
1. 「ヴィシュヌ神の神殿またはドゥルガー寺院への入り口のまぐさ」、インド、マディヤ・プラデーシュ州中部、9世紀半ば、砂岩。シンガポール国家遺産局、アジア文明博物館所蔵。
2. 「ジーナ・リシャバナタの神殿」、インド東部、1137年、銀と銅があしらわれたブロンズ。シンガポール国家遺産局、アジア文明博物館所蔵。
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宇宙の中心には地球があり、その周りを惑星、太陽、月が回っているという、プトレマイオスが提唱した宇宙モデル、天動説を研究した書籍のコレクション。
ハイライト:
1. 「イリアス」、ホメロス(紀元前800~701年頃)著、紀元前800年頃、書籍。バルセロナ司教館エピスコパル図書館所蔵。
2. 「アルマゲスト」、クラウディオス・プトレマイオス(100~170年頃)著、1515年、書籍、1515年版。バルセロナ大学所蔵。
3. 「皇帝天文学」、ペトルス・アピアヌス(1495~1552年)著、1540年、書籍、初版。バルセロナ大学所蔵。
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宇宙の中心には太陽があり、地球を含むその他すべての惑星体はその周りを回っているという、宇宙の太陽中心説を研究した書籍のコレクション。
ハイライト:
1. 「天文論説(Astronomical treatise)」、ナシール・アル=ディン・トゥーシー(1201~1274年)、イラン、イスラム歴712年10月(西暦1313年2月)著、インク、紙(繊維製品)、シンガポール国家遺産局、アジア文明博物館所蔵。
2. 「宇宙論」、ヨハネス・ケプラー(1571~1630年)、1621~1622年(1596年初版)著、書籍。バルセロナ大学所蔵。
3. 「天球の回転について」、ニコラウス・コペルニクス(1473~1543年)著、1617年(1543年初版)、書籍。バルセロナ大学所蔵。
4. 「天文対話」、ガリレオ・ガリレイ(1564~1642年)著、1632年、書籍。バルセロナ大学所蔵。
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赤い惑星にまつわるSF
19世紀の終わりにかけては、論理、進化、進歩に基づく科学が原動力となりました。人類が神にまつわる神話への関心を失っても、時代を超えた魅力を持つ物語は語り継がれ、社会の変化と共に成長してきました。
初期の天文学者が描いた火星の地図は画期的ではあったものの、科学的には不正確でした。しかし、このことが実際の火星に関連する科学的な躍進と相まってサイエンスファクト(科学による実現)とサイエンスフィクション(SF)がぶつかり合う条件を生み出し、物語は20世紀を通じて発展し続けていきました。
人類は2度の世界大戦から受けた大きな傷と折り合いをつけ、ワクワクするような希望を与えた宇宙開発競争と共に、テクノロジー主導の未来、火星、赤い惑星は、急速に黄金期を迎えました。そしてわずか1世紀の間に、火星は文化的象徴となったのです。
展示作品
4作品-
19世紀の天文学者が初めて火星の表面を描き、説明した地図と書物のコレクション。
ハイライト:
1. 「火星と火星の運河、生命を営むための条件(Mars and Its Canals, Its Conditions for Life)」、パーシヴァル・ローウェル(1855~1916年)著、1909年(1906年初版)、書籍。バルセロナ大学所蔵。
2.『Natura ed arte』誌掲載「火星の生命」、ジョバンニ・スキャパレリ(1835~1910年)著、1895年、書籍。バルセロナ現代文化センター所蔵。
3. 「火星 生命のすみか」、パーシヴァル・ローウェル(1855~1916年)著、1909年(1908年初版)、書籍。バルセロナ現代文化センター所蔵。
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大きな影響を及ぼしたH・G・ウェルズ作の小説「宇宙戦争」(1898年、火星人の地球侵略を描いた最も影響力の高いSF小説のひとつ)に関連する書籍、スケッチ、媒体のコレクション。
ハイライト:
1. 「宇宙戦争のオリジナルスケッチ」、エンリケ・アルヴィン・コレア(1876~1910年)作、1906年、厚紙の上に敷いた紙に、鉛筆、インク、木炭で制作。ステファン・A・ゲフター氏所蔵。
2. 「宇宙戦争」第1~11章、初版、『Pearson's Magazine』 第3号、ハーバート・ジョージ・ウェルズ(1866~1946年)著、1897年、雑誌。バルセロナ現代文化センター所蔵。
3. オーソン・ウェルズがナレーションを担当した「宇宙戦争」のラジオ放送、オーソン・ウェルズ(1915~1985年)、1938年、音声。バルセロナ現代文化センター所蔵。
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火星関連の物語、キャラクター、シーンを含む60以上のインドネシアと日本の漫画のコレクション。
ハイライト:
1. 「フラッシュ・ゴードン: 火星の海賊(Flash Gordon: Pirates From Mars)」、マック・ラボイ、ドン・ムーア作、1954年、漫画。ヴェンザ・クリスト氏所蔵。
2. 「火星のキラット船長(Captain Kilat on Planet Mars)」、ハスミ作、1979年、漫画。ヴェンザ・クリスト氏所蔵。
3. 「火星博士」、手塚治虫(1928~1989年)作、2010年(1948年初版)、漫画。アートサイエンス・ミュージアム。
4. 「セーラーマーズ」、武内直子(1967年~)作、1999年(1991年初版)、漫画。アートサイエンス・ミュージアム。
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人新世における火星
気候変動の危機は、まるでダモクレスの剣のように私たちに差し迫る災いです。気候変動には地球上のすべての種を脅かす力がありますが、皮肉なことに、これは人間の活動の産物であることは事実です。私たちがこれまで慣れ親しんできた唯一無二の故郷である地球を保護するのか、別の「惑星B」を求めて宇宙へ移住するのか。これは私たちが今も未来も直面している、非常に重要かつ難しい問題でしょう。
生存の必要性に対する人類の意識が大きく変化する中で、火星は地球を映す鏡として機能し、その本質を浮き彫りにしています。数千年にもわたる人類の歴史の中で、宇宙にすみかを見つけるという新たな冒険の幕開けに際しては、主に次の3つのテーマがあります:気候の混乱、あらゆる種との共存についてゆっくりと進む学び、複数の惑星で暮らすという夢。展示作品
4作品-
「火星(Mars)」、ルーク・ジェラム(1974年~)作、2023年、インフレータブル彫刻、ファブリック、内部照明、サウンドトラック付き。作者所蔵。
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「惑星基地(starbase)」、ミヒャエル・ナジャー(1966年~)作、2022年、アーカイバルピグメントプリント、無反射の反射防止性Deasecプレキシ、カスタム製のアルミニウムフレーム入り。作者所蔵。作者および上海BANK Gallery提供。
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「宇宙船(starship)」、ミヒャエル・ナジャー(1966年~)作、2023年、4K動画、単一チャンネル、ステレオ。 作者所蔵。作者および上海BANK Gallery提供。
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「ケプラー・ステーション(The Kepler Station)」、フローリアン・ファーケンニーダー作、2018年、ファインアートプリント、サテンバライタペーパー、アルミ複合板、木製フレーム。作者所蔵。
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「VMARS(v.u.f.o.c 火星アナログ研究所)」、ヴェンザ・クリスト作、2022年、オーディオビジュアル。作者所蔵。
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「火星の荒くれ者(The Wilding of Mars)」、アレクサンドラ・デイジー・ギンズバーグ作、2019年、Unity Simulation、4画面の音声付きビデオインスタレーション。作者所蔵。
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「火星飛行士(Marsonauts)」、ネロ・コスモス作、2023年、Lightbox AIの生成画像。作者所蔵。
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フアン・インスアとディミトリス・コントポウロスによるキュレーターツアー
「Mars: The Red Mirror」のキュレーターで元CCCB Labディレクターのフアン・インスアが行う特別なキュレーターツアーに是非ご参加ください。アートサイエンス・ミュージアムのシニアプロデューサーディミトリス・コントポウロスと共に、赤い惑星に関する驚くべき物語と科学的探検を発見しながら展示を観覧することができます。
オープニングシンポジウム
Humanity Reimagined – Mars オープニングシンポジウム
4階、アートサイエンス・シネマ
チケット料金: 10シンガポールドル
「Mars: The Red Mirror」の開催を記念して、火星が長い間人類の想像力をどのようにとらえてきたのか、そしてそれが人類にとってどのような意味を持つのかを見てみましょう。
In Search of Tomorrow
In Search of Tomorrow
4階、アートサイエンス・シネマ
入場料無料/チケット制(要Web事前予約)
宇宙船、エイリアン、浮遊都市、赤い塵に覆われた惑星。眩しく大胆なSFの世界では、人類の思い描く未来は常に、未知なるものへの恐怖と、時空の向こう側を覗いてみたいという揺るぎない願望によって形作られてきました。詳細
関連アクティビティ
- ガイドツアー
- ギャラリー内クエスト
- 自由参加型セッション
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2023年11月28日より、毎週火曜日午後4時から
B2階、展示ギャラリー
太陽系で最も近い惑星であり、人類が将来住むであろう火星の魅力的な世界を探検してみませんか。教育スペシャリストと共に、古代の物語から現在の宇宙ミッションまで、赤い惑星の文化的影響と科学について学びましょう。
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自分だけの火星アニメをつくろう
12月、1月、2月の平日開催
B2階、サーキュレーション・エリア
当日参加無料。
火星への移住には、語り切れないほどの冒険が待っています。この物語に、あなたならどうやって命を吹き込みますか? こちらの自由参加型イベントでは、自分だけの火星旅行の物語のパラパラ漫画をつくります。