細部にまで行き届いたサービスと世界水準のおもてなしで知られるデスティネーションとして、私たちはあらゆる瞬間を大切にしています。ご到着からご出発まで、お客様は行列や紙のクーポン、不要な待ち時間に煩わされることのない、どこまでもシームレスな体験を求めています。
マリーナベイ・サンズでは、こうしたご期待がテクノロジー設計の基盤となっています。
特にその理念を体現しているのが、エンジニアやデジタル分野の専門家で構成される「Smart IR(Integrated Resort)」チームです。
同チームは、2011年に顧客の主要データを管理し、Customer Relationship Management (CRM)システムへ統合する業務からスタートしました。現在では、モバイルアプリの開発やウェブサイトの刷新、組織全体で活用される社内向けデジタルツールの構築といった主要なプロジェクトを手がけています。
チームが誇るプロジェクトの一つが、2021年にリニューアルされたモバイルアプリです。このアプリにより、さまざまなお客様が指先ひとつで、お客様一人ひとりに合わせたマリーナベイ・サンズ体験を指先ひとつで楽しめるようになりました。
パイザ・コレクションのお客様やVIPの皆様は、一般的な配車サービスと同様に、車両のリアルタイム追跡や自動配車機能を備えたリムジンをアプリからご予約いただけます。
お車でお越しのお客様は、アプリ上で電子レシートを利用してデジタル駐車券に引き換えることができます。また、ホテルにご宿泊のお客様は、宿泊やレストラン、シアター公演のご予約はもちろん、フロントデスクに立ち寄ることなく電子チェックインで直接お部屋の手続きを済ませることも可能です。
アプリ内の旅程管理機能は、リゾート全体にわたるお客様のアクティビティを一つにまとめ、スケジュールのスムーズな管理を実現します。
継続的に新機能が追加されるこのオールインワンアプリからは、お客様にストレスのない快適な体験をお届けするためにマリーナベイ・サンズが実践している、高度なエンジニアリングの一端を垣間見ることができます。
Smart IRチームの進化は、マリーナベイ・サンズがテクノロジーを単なるサポート機能の枠を超え、戦略的基盤として位置づけるようになった意図的な変化も反映しています。
スタッフの3人に2人が開発者でありながら、事業部門に所属している点が、このチームのユニークな特徴です。この体制により、IT部門と連携してバックエンドの安定性を維持しつつ、常にお客様のニーズを的確に捉えることが可能となっています。
現在、チームは40名体制で構成されています。このチームは、ソフトウェア開発のライフサイクル全体をエンドツーエンドで管理する「自走型」の組織として運営されています 設計からコーディング、テスト、運用展開に至るまでを自ら手掛ける一方で、システム、インフラストラクチャ、アーキテクチャ、アプリケーション・プログラミング・インターフェース(APIs)、ミドルウェアといったエンタープライズ基盤については、IT部門と緊密に連携しています。
Smart IR担当アシスタント・バイスプレジデントのSusan Khooにとって、システムを外部から導入するのではなく、自社で開発するという決断は、極めて戦略的なものでした。
「統合型リゾートのような独自の魅力が求められる環境で成功を収めるには、お客様がテクノロジーに合わせるのではなく、テクノロジーがいかにお客様のご期待に寄り添えるかが重要です」と、彼女は語ります。「コアシステムを自社で保有することで、柔軟に拡張や進化を続けながらも、自然で上質なパーソナライズ体験を自由にデザインできるのです」
Smart IRチームの高い技術的俊敏性により、パーソナライズされたカスタマーダッシュボードなどの社内ツールの開発も実現しました。このツールは現在、組織全体で約800名のチームメンバーに活用されています。ウィジェットを活用したワンストップ型システムにより、お客様対応を担うチームメンバーは自身のダッシュボード画面を自由にカスタマイズできます。利用頻度の高いウィジェットを選択することで、必要なデータを瞬時に呼び出すことが可能です。
常に先を見据えるチームは、新たなプラットフォームやユーザー行動を探求し続けており、2025年後半からのWeChat Mini Programmeの導入をはじめ、次々と新しいプロジェクトに挑んでいます。マリーナベイ・サンズは、ホテルのご予約をはじめとする各種機能をWeChatに統合することで、お客様が使い慣れたプラットフォームからスムーズにサービスへアクセスできる環境を整えています。
Khooのリーダーシップの下、Smart IRのチームは強い当事者意識を持ち、事業部門と密接に連携しながら日々の業務に取り組んでいます。開発担当者は最前線に立つチームとともに時間を過ごし、ゲストとの実際の接点や繁忙期のオペレーションを直に観察しています。
「最も過酷な状況下でシステムがどのように稼働するかを目の当たりにすれば、品質に妥協の余地などないことがわかるはずです」と彼女は語ります。
さらに彼女は、繁忙期にお客様がどのように質問され、スタッフがどのようにシステムを操作しているかを直接目の当たりにすることで、開発者は現場が直面する課題についてより深く理解できると語ります。技術的な遅延がいかに重大な影響を及ぼすかを自ら体験すれば、開発者は高負荷の状況下でも自身のコードが確実に機能するよう、より一層の意欲を持って取り組むようになります。
Smart IRチームのカルチャーを特徴づけるのは、独自のシステムに対する極めて強い当事者意識です。Khooはこれを、各プロジェクトを自らの「我が子」のように大切に扱う姿勢であると表現しています。
システムの不具合やユーザーからの否定的なコメントは、開発者にとって本当に「心が痛む」出来事であり、それが最高水準の品質を維持し続ける原動力になっていると彼女は付け加えます。
Smart IRチームにとって、それはこの象徴的なリゾートでのゲスト体験をさらなる高みへと引き上げるべく、自ら開発するアプリやウェブサイト、インターフェース、ダッシュボードに絶えず磨きをかけることを意味しています。
Khooにとって、マリーナベイ・サンズのデジタル体験を将来を見据えて強化することは、一度きりの変革ではなく、継続的な取り組みなのです。
「ラグジュアリーホスピタリティの世界では、今日の革新があっという間に明日のスタンダードへと変わっていきます」と彼女は語ります。「私たちの役割は、常にその一歩先を行くことです。複雑さを加えるのではなく、すべての体験を、きめ細やかな配慮とお客様一人ひとりに寄り添うおもてなしで、この上なくスムーズで心地よいものへと昇華させることなのです。」