マリーナベイ・サンズのスイート、ザ・パイザロイヤルコレクションを優雅に彩るFromentalの壁紙。手作業で刺繍を入れた特注の品は、究極のスタイルステートメントです。
ハイファッションの世界では、予想を裏切る形でサプライズが起こることが少なくありません。ニューヨークで行われたメットガラ2024では、ハリウッドのトップスター、デミ・ムーアが彫刻のように立体的な花のドレスを着用して登場し、観客を驚かせました。これは、ロンドンを拠点とするファッションデザイナー、ハリス・リードが、高級壁紙ブランドFromentalが手掛けた過去の壁紙を使用して製作したものです。
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また、ライフスタイルプラットフォーム「Goop」の創設者でもある女優のグウィネス・パルトローは、Goop x Fromentalの壁紙コラボレーションに合わせ、壁紙に調和するアパレルコレクションのデザインを手掛けました。
インテリアとスタイルの境界をあいまいにするFromentalの特注壁紙は、単なる背景ではなく、主役級の存在です。
Fromentalは最近ではマリーナベイ・サンズと提携し、同ホテルの新しいスイート、ザ・パイザロイヤルコレクション向けに特注の壁紙を製作しました。この壁紙はシンガポール固有の植物を想起させるデザインを採用しています。
ティム・ブッチャー氏とリジー・デシェイズ氏夫妻によって2005年に創設されたFromentalは、壁紙にクチュールレベルの職人技を取り入れたいという思いから誕生しました。2人にはファッション業界での経験があり、手刺繍、手描き、金メッキのような複雑な職人技を壁紙に採用したいというビジョンがありました。
「シルクの壁紙に手刺繍を取り入れたのは私たちが最初です」と、デシェイズ氏は言います。この成果はブッチャー氏にファッションと織物の経歴があったおかげだとデシェイズ氏は考えています。ブッチャー氏には中国刺繍で使用される絹だけでなく、それを製造する職人との接点もありました。
現在のチームは、アーティスト、職人、デザイナーで構成され、ロンドン、無錫、コルカタに工房を構えています。
その繊細で緻密なデザインには光を反射する技術が取り入れられており、夕暮れから夜明けにかけて、室内で絶え間なく変化する幻想的な景色を作り出します。
「美は人間にとって基本的なニーズです。そして、常に私たちの信念の中心にあります」
「私たちは、自然のように、今もこれからも美しいものを作りたいと考えています。同時に、建築の面から空間にフィットするデザインやクライアントのビジョンを具現化するデザイン、その空間ならではのデザインにも取り組んでいます」とデシェイズ氏は語ります。
その結果Fromentalは、世界中のデザインにこだわる最高級ホテルや、67 Pall MallやThe China Clubのようなプライベートクラブにとって欠かせないブランドとなっています。
「ホテルの場合、住宅には大胆すぎることもあるワクワクするようなデザインを検討する余地があります。そのため、最高のデザインをそのまま表現する機会が得られますし、これがとても楽しいのです」と話すデシェイズ氏。
感覚を魅了する空間作りにこだわっているマリーナベイ・サンズは、表現に最適なキャンバスをFromentalに提供しました。
「マリーナベイ・サンズの目標は、現地の花や葉を取り入れ、シンガポールの緑豊かな風景をホテルの洗練された建物へとシームレスに融合させることでした」とデシェイズ氏は説明します。
この目標を達成するため、Fromentalチームはマリーナベイ・サンズのインテリアデザインチームと連携し、異なるスイートルームのために3つの特注デザインを作成しました。たとえば、プレジデンシャルスイートのピアノが置かれた部屋は、シンガポールの熱帯環境と特徴的な建築を表現した壁紙が特徴です。
シンガポールを象徴する国花のランは、最後となる3つ目の特注壁紙で目立つように取り入れられました。これはリビングルームのウォールパネルに使用されており、メタリックな質感を持つ層状のシルクに、エレガントで生き生きとしたランが手描きで描かれています。
最終的に、これらのデザインによって単なるホテルの一室から、体験や鑑賞にふさわしい空間へと高められています。以下はデシェイズ氏の言葉です。
「客室に足を踏み入れると、遠くからでもこの美しいデザインに包まれます。そして、近づけば細部のブラシの跡やステッチを楽しむことができます。これは素晴らしいことです。この客室では、芸術作品と対話するように、壁との対話ができるのです」
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絵画はさらなる光沢を出すために虹色の真珠のウォッシュで磨かれた生の絹の上に描かれています。
ベッドヘッドの壁は、手描きの四角形と落ちてくる金属の葉を組み合わせることで、高層ビルのきらめく夜景を彷彿とさせます。