Bynd Artisanの2人の創業者は、生産性向上のためのルーティン、十分に検証を重ねたセルフケアハック、「人とのふれあい」がこれまで以上に重要となっている理由を共有しています。
Bynd Artisanは、大量生産の時代に伝統的な職人技を再興させる、という1つの目的から始まりました。すべての始まりは、1942年にシンガポール人のチャン・クーン・セン氏が、のちにGoy Liang Book-Making Companyとして知られるようになる小さな製本所を開いたことでした。2014年、ウィニー・チャン氏が祖父であるチャン・クーン・セン氏の功績に敬意を払い、夫のジェームズ・クァン氏とともに立ち上げたのがBynd Artisanです。シンガポール国内の3軒あるエレガントなブティックで、一人ひとりに合わせた100点以上の異なるレザーギフトやペーパーギフトを販売しています。
複数の受賞歴があるBynd Artisanは、モダンなブティックでありながら、根底に伝統が息づいています。伝統的な製本術や革細工を習得した職人たちで構成される少人数のチームには、チャン家と50年以上もともにした82歳の名匠、BCチョン氏も含まれています。「チョンは私の成長する様子を見てきました」とチャン氏は話します。
今年10周年を迎えるBynd Artisanは、最初の製品であり、今なおベストセラーでもあるカスタマイズノートから事業を拡大してきました。今では、ポーチやワインバッグ、アップサイクルのレザー製ランプシェードなどのユニークなコラボレーションを含む、さまざまなギフトアイテムを販売しています。2022年には、レザーの端材など、持続可能な素材を使用したアップサイクル製品を販売する、環境を意識したブランドreByndを立ち上げました。
ここでは、クリエイティブな起業家としての2人の生活の一端をお伝えします。
ウィニー: 午前5時30分頃に起きて、植物園に行って30分ジョギングをします。またビジネスに関するポッドキャストを聴いています。ハーバード・ビジネス・レビューやメル・ロビンズ氏の「ブロンズ・メダル・マインドセット」などは、特に面白いと思いました。また、朝にはジャーナルも付けていて、優先事項や大切な思い出を書き留めています。これは、ジェームズにも誰にも見せたことがありません。朝食はシンプルで、UCCのドリップコーヒーか、時々コーヒーメイトを入れたネスカフェを1杯だけ飲みます。みんなには呆れられますが、大好きなんです。
ジェームズ: 午前7時に起き、ティオン・バル・マーケットで購入したYong Sengのコーヒー豆を使って自分でコーヒーを淹れます。お気に入りはコロンビア豆80%とブラジル豆20%のブレンドで、毎日10杯は飲んでいます。業務が始まる午前8時半までにニュースを確認します。8時半には、自社の財務コントローラー、マーケティングチーム、小売チームとの体系的なミーティングがあります。メールにはいつもすぐに返信します。ウィニーは逆で、長くてかしこまった返信をするんです。数か月かかることもあります。
ジェームズ:新型コロナウイルスによって働き方が変わり、よりクリエイティブになりました。ソーシャルメディアマーケティングを強化し、eコマースサイトのオムニチャネル化に取り組み、マウスパッドやハンドサニタイザーといったリモートワーク用製品を開発しました。時間とともに、当社の製品は紙製品が50%だったのが、現在では80%が非紙製品へとシフトしています。また、新型コロナウイルスのおかげでお客様との関係性も深まりました。多くの方が職人と会話するためだけにブティックを訪れてくださり、職人たちとの関係が育まれました。また、特別注文は個人的なつながりに基づいています。聖書、パイロット用のコックピットマニュアル、人生の特別な時間を思い出に残したい母親のための授乳日記まで、数えきれないほどのカスタマイズされたカバーを修復しました。
ウィニー: ランチには、ヘルパーさんが豆腐と野菜の入ったお気に入りのブッダ・ボウルを作ってくれます。私は肉をめったに食べません。ジェームズは屋台料理が大好きで、ミシュランでおすすめされている店舗が複数あるニュートン・ホーカーセンターの料理を特に気に入っています。
ジェームズ: 私たちのビジネスでは信頼が重要です。ランチ時でも休日でも、私たちは常にメールで連絡が取れるようにしています。信頼は、作品の質を通じても築かれます。たとえば、私たちは必ずロゴを手で刻印します。シルクスクリーン印刷よりもはるかに難しい作業ですが、この方が長持ちするのです。マリーナベイ・サンズとのコラボレーションでは、きめ細かいレザー、キャンバス地、スエードを使用した小物用のトレイ、テレビリモコン用ホルダー、ステーショナリーボックスなど複数のアイテムをデザインしました。これらには、細部へのこだわりが反映されています。その良い例が、客室が清掃中であることを示すスマートなレザータグです。小さな物ですが、お客様が目するため重要です。
ジェームズ: 毎週月曜日は、体を動かすためにカンポングラム・コミュニティセンターのダンス教室に通い、チャチャチャなどのオールドスクールなダンスを習っています。また、2021年には中国語や広東語の歌のコンテストに出場し始めました。これまで多くの大会に参加して5回の優勝を果たし、最近ではメディアコープ主催のテレビ歌唱コンテスト「Golden Age Talentime – Elite Edition」の準決勝に進出しました。大勢の観客の前でパフォーマンスする恐怖を克服したことは、個人的にとても大きな達成事項の1つです。午後11時に就寝する前には、自分のパフォーマンス動画を見返します。
ウィニー: 夜は個人用ソーシャルメディア(@the_paperqueen)の作業時間。その日の写真や動画を編集しています。また、Bynd Artisanのイベント後には、CapcutやSnapseedといったアプリを使ってゲストの方の画像をパーソナライズします。一斉送信ではなく、選んだ写真を送っているのです。この作業には時間がかかるので、眠るのは午前1時や2時になる日が多くなります。それでも、すべての作業が誠実で心がこもっていると感じられることが重要なのです。これはBynd Artisanのやり方です。