
シンガポールにやってきたインド人の多くは、東インド会社をはじめとする貿易会社の契約労働者や日雇い労働者でした。シンガポールのヒンズー教寺院には、インド人移民者が崇拝するさまざまな神や女神が祀られています。こうしたインド人移民の多くは、同じ村や町出身のヒンズー教徒グループや、同じ下位文化のグループを形成し、同じような崇拝の形式をとっていました。
シンガポール最古のヒンズー教寺院は、食べ物や買い物などで魅力的な街チャイナタウンにあるスリ・マリアマン寺院です。ペナン州から来た政府の役人であり、シンガポールで最初の建築会社を設立したナライナ・ピレイよって、1827年に建てられました。同寺院は、南インドのドラヴィダ寺院建築をほうふつとさせるもので、ゴープラム(上に向かって積み上げられた屋根)は、6段に重なった彫刻で飾られています。

それから数十年後の1855年、ヴィシュヌ神を祀った大型寺院スリ・スリニヴァサ・ペルマル寺院が、セラングーン・ロードに建てられました。ゴープラムは1966年に作られ、さまざまな姿をしたヴィシュヌの化身が描かれており、ヒンズー教の神話を学ぶことができます。
寺院の敷地内や周囲はもともと肥沃な土地で、寺院で祈りを捧げる人々の清めの儀式に用いられた小川や野菜畑、池がありました。小川は現存していませんが、井戸は残っており、当時の様子を思い起こすことができます。また、この寺院は、毎年開かれるタイプーサムの行進の出発地点にもなっています。タイプーサム はシンガポールの興味深いお祭りのひとつです。予定が合うなら、ぜひ足を運んでみてください!


ヒンズー教寺院を訪れるときは、靴を脱ぎ、寺院の外に置いておきましょう。シンガポール人は一般的に服装には寛容ですが、礼拝の場を訪れる際は敬意を表した控えめな服装にすると良いでしょう。ヒンズー教寺院の多くは、誰でも見学することができますが、神聖な場所は、礼拝者や僧侶のみ入ることが許されている寺院もあります。写真も一般的には許可されていますが、写真を撮る前に許可を得たほうが良いでしょう。人物やプライベートな儀式などを撮影する際は、特に必要です。
これ以外にも、シンガポールには、モスクや教会、中国寺院やあまり知られていない宗教施設があります。ぜひチェックしてみてください。