作品紹介
シンガポールが独立60周年を迎えるこの節目に、私たちはこの国の多様性と輝きを称える短編映画を発表できることを誇りに思います。この作品は、マリーナベイ・サンズとシンガポールが共に歩んできた軌跡を、想像力、たゆまぬ努力、変革、そして揺るぎない楽観主義を通して描いた、愛と敬意を込めたオマージュです。
シンガポールの国際的な存在感を築いてきた人々と、この国の精神を体現する声をひとつに紡ぎながら、この映画は、他にはないこの都市の価値観、個性、そして先見性を讃えます。静かな内省から大胆な挑戦まで──人間味あふれる物語が、時代を超えたシンガポールの肖像として描かれます。まだ見ぬ夢に想いを馳せながら、共に築く未来へ。
タン・キンファは、シンガポールの芸術界を切り拓いてきた先駆者の一人です。映画「クレイジー・リッチ!」でのケリー・チュー役をはじめ、ミュージカル「ビューティー・ワールド」など、長年にわたり演劇界に多大な貢献をしてきました。2002年にはアジアン・テレビジョン・アワードで最優秀女優賞を受賞。彼女の演技は、揺るぎない規律、鋭い感受性、そして深い文化的洞察に裏打ちされています。
ピエール・パンは、20年以上にわたるキャリアを持つベテラン俳優です。「クレイジー・リッチ!」、「リトル・ニョニャ」、「This Land Is Mine」などの作品で知られ、シンガポールの物語を語る上で欠かせない存在となっています。数々の演技賞を受賞しており、彼の演技には常に、落ち着いた気品、集中力、そして静かな存在感が宿っています。
ジャスミン・ソッコは、シンガポールを代表する個性派音楽アーティストの一人です。音楽番組「Rave Now」へ出演や、MTV EMA東南アジア最優秀アクト賞の受賞を経て、ミニマルで感情を内包したエレクトロニック・サウンドで独自の地位を築いてきました。彼女の作品は、内省と抑制が絶妙に融合し、現代的でありながら深く個人的な音の世界を描き出しています。
リム・シー・アンは注目の若手俳優であり、代表作には「Sephia」「Third Rail」「Under My Skin」などがあります。シンガポールの新世代を代表する存在として、彼女は静かな情熱、繊細な感情表現、そして恐れを知らない感受性を兼ね備えています。
オリンピックに2度出場し、SEAゲームズで金メダルを獲得したクア・ジェンウェンは、シンガポールを代表するトップアスリートの一人です。アメリカでトレーニングを積み、世界を舞台に活躍する彼は、その競技力だけでなく、規律と謙虚さでも広く尊敬を集めています。プールの中でも外でも、その姿勢が彼の歩みを形づくっています。
ラナ・ライスは、シンガポール出身の若きチェスの才能です。2025年6月時点での国際チェス連盟(FIDE)公式レーティングは、標準1635、早指し1560、超早指し1522です。 彼女はU12のシンガポール代表として、これまでに複数の国際大会に出場しています。なかでも2025年6月には、チェコで開催されたTeplice Open Group Bの女子部門で2位に入るなど、目覚ましい活躍を見せています。集中力と冷静さを兼ね備え、静かに相手を圧倒するような存在感を持つ、その実績は、卓越した技術と培われつつある国際経験を物語っており、彼女の将来が非常に有望であることを示しています。
デザイナー、クリエイティブ、そして「Aliwal Chess Club」の創設者であるヒルファン・ロムジは、チェスというゲームの新たな価値を再定義しています。木箱の上で始まったカジュアルなチェスの集まりは、戦略、ストリートカルチャー、そしてテタリ(teh tarik 濃厚なミルクティー)を通じて人々をつなぐムーブメントへと発展しました。カンポン・グラム地区でのネオンに照らされた対局イベントの開催や、地元クリエイターとのコラボレーションを通じて、ヒルファンはチェスをより新鮮で楽しく、そして誰もが参加しやすいものにしています。彼にとってチェスは、単なるゲームではなく、人生のメタファーなのです。
カーステン・タンは、ニューヨークを拠点に国際的な評価を受ける映画監督であり、世界の映画、ファッション、ブランド・ストーリーテリングの分野で、スタイルに富み感情を揺さぶる作品を手がけています。彼女の革新的なデビュー作「Pop Aye」は、サンダンス映画祭とロッテルダム国際映画祭の両方で受賞した初のシンガポール映画として歴史を刻み、シンガポールのアカデミー賞公式出品作品にも選ばれました。詩的な精緻さと実存的な視点をもって、彼女の映画は現代社会の不条理を鋭く描き出しています。
アマンダ・リー・コーは、短編集「Ministry of Moral Panic」でシンガポール文学賞の最年少受賞者となり、小説「Delayed Rays of a Star」および「Sister Snake」では国際的な高い評価を受けた作家です。彼女の作品は常識にとらわれず、鋭い感情表現と政治的な視点を融合させています。大胆でジャンルの枠を超え、決して妥協しないその文体は、文学の枠組みに挑み、新たな地平を切り拓いています。
「Nothing Comes by Chance」の世界へ――撮影現場の舞台裏をご覧ください
この作品は、1858年にポール・モーフィーが指した伝説の「オペラ・ゲーム」への映画的オマージュでもあります。盤上を舞う駒の動きと、スクリーン上の演出が重なり合うその美しさに着想を得ました。
- Kirsten Tan (映画監督)
この島を、私たちは「ふるさと」と呼ぶ
そんな場所では
きっと時間は貴重で
空間は限られている
でも、
私たちは夢をコンクリートに注ぎ
明日を今日に変えてきた
三手、五手先を読み
リスクを恐れずに踏み出し
自分の軸を保ち
まばゆい光の下で輝き
心を込めて演じ
ひと息つき
歩みを振り返る
ここまで来た
夢見る者にとって、常に新たなゲームがある
真実はこうだ 偶然なんて、何ひとつない
そして、最高の勝利とは
まだ形になっていないもの
今も探し続けているもの
その先へと進むために生まれたもの
– アマンダ・リー・コー 作
BORN OF BEYOND
2010年の開業以来、マリーナベイ・サンズは常に期待を超える存在であり続けてきました。モシェ・サフディによる設計は、建築の驚異として世界に知られ、シンガポールのスカイラインに輝く象徴となりました。
開業からわずか1年で、シンガポールの観光業は20%の成長を遂げ、世界中から注目を集める目的地へと進化しました。今日では、建築、ショッピング、文化、ミシュラン星付きの美食、ナイトライフ、そしてコミュニティが融合する統合型リゾートとして、都市の景観そのものを再定義しています。近い将来にはさらなる再投資も予定されており、マリーナベイ・サンズはシンガポールの成長に対する長期的な貢献をさらに深めていきます。それは単なるランドマークではなく、ビジョンによって形づくられ、変革によって動き続ける、シンガポールの物語の一部なのです。
シンガポールの60周年を祝う、特別にキュレーションされた体験をお楽しみください。ローカルの風味にインスパイアされたカクテルや限定メニューから、60年にわたるポップカルチャーを鮮やかに讃えるエキシビジョンの「SingaPop!」まで。一口ごとに、一杯ごとに、この国の先駆的な精神に乾杯を。パノラマビューのスカイラインを眺めながら、世界を魅了し続けるこの都市の物語に、心を重ねてみませんか。