スタッフの紹介: ドレ・レジス(マリーナベイ・サンズ、チーフベーカー)

チーフベーカーが伝える、伝統を維持しながらも当地ならではの味わいを革新することの重要性

 

 

1. マリーナベイ・サンズでの職務について、詳しく聞かせてください。

フランスで生まれ、1991年にフランス、アルザス地方のベーカリー「ドーファー」の見習いとしてパンの世界に入りました。私は、フランス屈指の職人を意味する「国家最優秀職人章」という権威ある称号の持ち主であるジョセフ・ドーファーからペストリー作りの基本を学びました。また、ベーキングコースに登録して、最終的にはベーキングの修士号を取得して卒業しています。それ以来、人生のうち30年を超える間、パン作りの技能習得に打ち込んでいます。この情熱に導かれて、フランスの一流ベーカリーからフロリダのリッツ・カールトンのような有名ホテルまで、世界中を巡りました。キャリアの中で、ジョエル・ロブションやゴードン・ラムゼイなどの料理界のレジェンドと一緒に仕事をするという機会に恵まれました。

2018年に厨房を離れて、ソウルのル・コルドン・ブルーの講師に転職しました。次世代のパン職人を育成するためです。そして2023年1月に厨房に復帰し、マリーナベイ・サンズのチーフベーカーに就任しました。

チーフベーカーとして、20名を越える才能あふれる料理の専門家からなるチームを率い、新しいレシピの開発、チームメンバーの製パン技術の向上を目的としたトレーニング、そして日々の業務で提供する多種多様なパンやヴィエノワズリーの製造など、あらゆる業務を監督しています。バンケットからインルームダイニングや各種ダイニングレストランまで、本格的で質の高いパンが生み出す喜びを、マリーナベイ・サンズを訪れるすべての方にお届けすることに私たちは力を尽くしています。

 

2. 世界中のたくさんの有名なベーカリーやホテルで働いた経験をお持ちですね。あなたの多様なバックグラウンドは、マリーナベイ・サンズの料理チームの指導や、提供するパンやヴィエノワズリーのラインアップにどのような影響を与えていますか?

フランスのベーカリー、フロリダのリッツ・カールトン、ドバイのアトランティスホテルなど、どの場所でも多様な製パン技術のレパートリーを築き、料理の世界への深い敬意を育むことができました。

マリーナベイ・サンズでは、伝統的な技術を尊重しながら、創造性を取り入れ、パンにイノベーションを吹き込むことができると信じています。私のチームは、天然酵母、厳選された小麦粉、そして12時間の熟成時間を用いて、フランスのベーカリー伝統の本物の味を守ることに全力を注いでいます。その一方で、さらに、敢えて創造力を発揮し、当地の食文化からインスピレーションを受けて、独特のフレーバーを構想しています。それは、パン職人としての私の経験から培われたものです。

ル・コルドン・ブルーで指導していた数年間で、教えることと料理チームを統率することの間には著しい相乗効果があることがわかりました。どちらの役割にも、若い世代を育成することに対する情熱が求められるのです。厨房では、独自のレシピを考え出すことから、新しいベーキング技術を試してみることまで、創造性を発揮して当事者意識をもつようチームに勧めています。これを通じて、彼らが成長し、パン職人として自分自身の得意分野を見つける手助けになると信じています。

 

3. マリーナベイ・サンズのチーフベーカーとして、どんな課題に直面していますか?

チーフベーカーという職務には、魅力的な機会がある一方で、課題に直面することも見込まれます。課題のひとつは、多様なお客様に対応しながら、伝統的なフランスの技術から革新的な創作まで、ベーキングのあらゆる側面において最高水準を維持することです。

もうひとつの課題は、サンズ エキスポでのイベントで求められる大量のベーカリー製品に対応しながら、提供する製品にムラができないようにすることです。たとえ大量生産であっても、品質と味は抜群であり続ければなりません。最高級の材料を使い、常にレシピを改良して、高い水準を維持し、商品にバラつきがないようにすることを徹底しています。MICEに参加する皆様に記憶に残る料理体験を創出するためです。