View of Marina Bay Sands Hotel and ArtScience Museum in DaylightView of Marina Bay Sands Hotel and ArtScience Museum in Daylight

マリーナ・ベイ・サンズの建築学的特徴とデザイン体系の面白さ

近未来的なデザインに着想を得てデザインされた複合リゾート施設マリーナ・ベイ・サンズには、一貫した建築コンセプトがあります。モシェ・サフディの設計による3つのタワーは、55階の高さまで積み重ねたトランプのカードがモチーフになっています。
Marina Bay Sands Hotel Tower

タワーは、傾斜しながらまっすぐに立っているという、ユニークな外観をしており、特にタワー1の傾斜角度は26度もあります。完璧なエネルギーバランスと環境との調和を生み出す風水に基づいて建てられています。また、タワー1の傾斜角度と同じ「26」という数字は、2と6を足すとラッキーナンバーの8になることから、繁栄の数字と言われているのも興味深いところです。

3つのタワーはそれぞれ独立していますが、23階と屋上のスカイパークでつながっています。スカイパークは、地上から200mの高さにあり、一方が張り出したカンチレバー(片持ち)構造をしています。このすごさに感嘆されたのなら、スカイパークの広さや全長にも驚かれることでしょう。

Marina Bay Sands SkyPark Infinity Pool at Sunset

カンチレバーは1.2ヘクタール(12,000㎡)あり、A380旅客機5機分に相当します。旅客機をとめられるくらい広いスカイパークですが、レストランやカフェ、250本の木々、全長150mのインフィニティプール、シンガポールの摩天楼や海を360度から眺めることができる展望台として使用する方が、有効に活用でそうです。実際のところ、スカイパークの全長は、エッフェル塔の高さよりも長いのです。

こうした目に見える建築的なすごさ以外にも、この総合リゾート施設には、さまざまな設計上の特徴が隠れています。非常に高さのある建物であるため、風に揺れやすいということがあります。つまり、シンガポール沖からの強風によって、タワーは揺れているのです。そのため、プールの真下に4つの可動ジョイントを取り付けて風の力を抑えています。このジョイントは、建物を安定した状態に保つため、平均約20インチ可動しています。

また、非常に重い建物であることから、時間とともに施設全体が地面に沈み込んでいく傾向があります。これにより建物が傾いてしまう恐れがあるため、建物の下にジャッキを500台設置し、調節できるようにしています。こうした仕組みによって、インフィニティプールのある屋上の安定は保たれています。

隠れた建築的特徴は他にもあります。冷却システムに雨水を利用した環境に優しいシステムや、エネルギーを削減するため運動エネルギーを再利用するエレベーターを導入しています。雨水は、その名前にふさわしくアートサイエンス・ミュージアムで貯め、リゾート全体で使用しています。

設計や構造的特徴から環境配慮型システムや風水まで、リゾートにはさまざまな建築の知識や技術が取り入れられています。こうしたことすべてが一体となって、シンガポールの中心にこのような特別な場所が生まれたのです。