リチャード・ブランソン氏の「ミッション ポッシブル」

インタビュアー : イライザ・リョン



カーボン ウォー ルームの創設者であり、ヴァージン社 CEO としても有名なリチャード・ブランソン氏とその盟友が語る、仕事への情熱、そしてこれからの時代のクリーン テクノロジー。

  • インタビュー

現在、アジアでカーボン ウォー ルームのプロモーションを行っていますが、 なぜ今なのでしょうか?

ブランソン氏 : カーボン ウォー ルームは、世界中の企業が団結して、事業を犠牲にすることなく二酸化炭素の排出を削減するクリエイティブな方法を模索し編み出すために設立しました。非営利団体として設立したのは、素晴らしい方法やアイデアを共有するためです。このまま大気が大量の二酸化炭素で覆われてゆくことによって、最終的にはわれわれが住むこの地球そのものが破壊される可能性があるからです。

二酸化炭素対策でもっとも難しい点は何だと思いますか? それは、目に見えない敵だということです。テレビカメラで映して放送しても、あまり見映えのする映像にはなりません。 ジャーナリストは実際に見て手で触れることができる、有形のものを好んで記事にします。 だから、二酸化炭素対策に対する説得力ある論拠を示すことは容易ではないのです。それでも、私たちは最善を尽くさねばなりません。

フィゲレス氏 : サー・リチャードはこれまで、二酸化炭素排出量の 50% 削減を主張してきました。これは、政府間協定や国家間の交渉を待たずに営利ベースで実現可能な削減レベルです。 ここで重要な役目を果たすのがカーボン ウォー ルームです。カーボン ウォー ルームは、二酸化炭素の削減から収益をあげ、雇用や機会、投資、新しいビジネスモデルを創出することで経済的な福利をもたらすことができます。まさに、これまでの世界の視点を 180 度変えてしまう、真の変革と言ってよいでしょう。

ブランソン氏 : カーボン ウォー ルームはこれまでに米国とイギリスに開設されています。 シンガポールにもカーボン ウォー ルームを設立し、できるだけ多くのアジアの企業に参加してもらえることを切望しています。アジアの有能な人材を集めて、事業面と環境面両方における利益を実現したいと考えています。

シンガポールの環境省は、我々の海面上昇に対する憂慮を共有しています。 そう遠くない将来にありえる破滅的な状況を回避するためには、我々は協力してクリエイティブな方法を模索し、編み出す必要があります。

 

産業界では現在、二酸化炭素の削減をどのように推し進めているのでしょうか?

ブランソン氏 : ホテル分野では、まず身の回りから、自分たちにできることから正してゆくことに最善を尽くしています。 たとえば、ヴァージン ホテルでは一切プラスチック製のボトルを使用していません。プラスチックボトルの使用を一切禁止し、ガラス瓶や、洗って再利用できるボトルに水を汲むようにしているのです。 これは私が住んでいるネッカー島の習慣から採用した事例ですが、これまで年間 25 万ドルもの節減を実現しています。 もっとも重要なことは、プラスチックの削減が万人の利益になっている、ということです。

ヴァージンが発想したコスト削減案は、カーボン ウォー ルームを通じて世界中の他のホテルにもシェア、その方法論を伝授することが可能です。マリーナベイ サンズとそのエコ活動は、環境面で万人に利益をもたらしている良い一例です。 ホテルの建築に低炭素型のコンクリートを使用できれば、さらに大きな成果が得られます。 企業が持続可能な方法で巨額のコスト削減を実現する手段は他にも数多くあります。 カーボン ウォー ルームはそのお手伝いをしたいと考えています。

航空業界も二酸化炭素の排出を削減するために多大な尽力をしています。 すでに、100% 炭素繊維を使用した宇宙船を軌道に送り出すことに成功しています。航空業界が同様の方法で飛行機を建造するようになれば、燃料の燃焼が劇的に削減することが可能です。先日、エアアジアがクリーン燃料の導入を目指してカーボン ウォー ルームに参加しました。他のすべての航空会社にも参加を促していきます。

クリーン燃料の導入は、最終的には航空業界の利益になります。政府には課税の口実がないため、クリーン燃料を利用する企業はダーティな燃料を利用する企業に対し競争上の優位性を高めることになります。 これにより、燃料コストの削減と航空運賃の値下げも可能になります。 そうなれば、旅行に出かけられる人の数も必然的に増加し、お年寄りが可愛い孫たちに会いに行く回数を増やすことも可能になります。二酸化炭素の排出に対するクリエイティブな対策は、まさに万人の利益になり得るのです。

 

意外性な業界とパートナーシップを組んだことはありますか?

ブランソン氏 : 船舶業界ですね。 他にもまだまだ、未着手の業界がたくさんあります。カーボン ウォー ルームは現在非常に大きな注目を浴び、推進力を得ています。アジアでも、より多くの協力者たちの参加を期待しています。

フィゲレス氏 : 同感です。 マースク社とライトシップ社が現在カーボン ウォー ルームのパートナーに加わっています。 今回、この 2 社と協力して、電化製品と同じように、船舶の効率性を A から G までのレーティングで評価することができるサイト、www.shippingefficiency.org を開設しました。評価対象には世界の海を運行する約 60,000 隻もの船舶が含まれています。 企業が船舶をチャーターして商品を輸送する場合、船のエネルギー効率を参照し、その情報に基づいてチャーター先を決定することができます。 カーボン ウォー ルームでは、今後も数多くの民間企業とパートナーシップを組んで、二酸化炭素の削減を促進するプロジェクトに取り組みたいと思っています。

ボイド氏 : ビッグデータですね。コンピューターや機械技術が急増し、そこから日々膨大な情報が生まれています。 現在、4 億の Web サイトが相互に接続されており、これは今後も増え続けてやがては 10 億に達すると見られています。データはありとあらゆるセクターを横断しており、情報の移動には大量の二酸化炭素が使われています。

 

アジアを旅行された感想をお聞かせください。

ブランソン氏 : これほど美しく、素晴らしい眺望を眺めながら記者会見に臨んだのは初めてです。 まさに、どこを向いても息を呑むような景観ばかり。素晴らしい。ああ、それからシンガポールではこれまでにないほど大量の汗をかきましたね。リサイクルしたらボトルいっぱいの水になるでしょう。 そうなんです。 シンガポールは本当に暑いですね。 これからは、ボトルを 2 本用意して足元に置いておくことにします (笑)。