書き換えられた環境

好むと好まざるとに関わらず、我々人類は何世代にも渡って自らの環境を「書き換え」続けてきました。「書き換えられる環境」では、人類の科学とテクノロジーの進歩と発展により、我々の環境がこれまでどのように影響を受け変化してきたかを分析していきます。

特筆すべきは、ローラ・オールコーンがファッションアクセサリーとしてデザインした受粉ツールキットを主体とする「The Human Pollination Project」の展示。このツールキットは、青果の受粉に大きな影響を与えるミツバチの個体数が減少しているという事実に潜む、社会的かつ環境的な意味をテーマとしています。

参加アーティスト: ローラ・オールコーン、Superflux、アンソニー・ダンとフィオナ・レイビー、ニコラウス・ゲイハルター、The Centre of PostNatural History、ロバート・ヅァオ・レンフイ、およびリアム・ヤング  
 

Flora and Fauna of the World(世界の動植物)

A Guide to the Flora and Fauna of the World(2013年)
ロバート・ヅァオ


シンガポール出身のロバート・ヅァオ・レンフィによる「A Guide to the Flora and Fauna of the World」は、人間のアクションと介入が自然界をゆっくりと改変しているという事実を記録してさまざまな形で表現しています。

変化を遂げる自然界の環境に対し、時に予期しない形で順応と進化を遂げてきた興味深い生物たちが、私たち人類が自然に対して持っている影響力の強さを見せ付けます。このシリーズに記録されているその他の生物は、科学調査や装飾目的などのさまざまな目的を果たすために人工的な変化を加えられて生まれた変異の産物です。

The Human Pollination Project (ヒューマンポリネーションプロジェクト)

The Human Pollination Project(2009年)
ローラ・オールコーン


ミツバチは人類の食料供給において青果の1/3以上の受粉を担っています。原因は謎ですが、2006年以降、ミツバチの数は大きく減少しています。この現象は、蜂群崩壊症候群(CCD)として知られています。これまでミツバチが行ってきた受粉作業を人が担うとしたら、どうなるのでしょうか。ミツバチの受粉作業に人類がどれだけ依存しているかということを示すために、デザイナーでストーリーテラーのローラ・オールコーンは米国のメーカーと協力し、機能的なファッションアクセサリーとしてデザインされた手動受粉ツールキットを作成しました。

この手動受粉ツールキットは、蜂群崩壊症候群の社会的および環境的意味に関する問題を投げかけることを意図しています。

Foragers

Foragers(2009年)
アンソニー・ダンとフィオナ・レイビー(英国)


英国のデザイナーとして活躍するダンとレイビーは、「Foragers」で食料生産の問題を提示しています。世界の食糧は不足しています。国連は今後40年間で70%の食料生産増加が必要になるという声明を発表しています。ダンとレイビーは、その他のほ乳類、鳥、魚、および虫の消化器官にインスパイアされた新しい消化デバイスと合成生物学とを組み合わせて、これまで人類が口にしてきたもの以外から栄養素を抽出できたらどうなるかという質問を投げかけます。 

「Foragers」は、人類の未来のためにそのようなデバイスの構築を始めた人々を描きます。その中で、人々は合成生物学を使って「消化バクテリア」を作り、電子および機械デバイスを併用して都市環境の栄養的価値を最大限に引き上げて食料の不足を補おうとしています。この人々は、都市で新しく生まれた採食者(Foragers)です。 

New City: Machines of Post Human Production、リアム・ヤング

New City : Machines of Post Human Production(2014~2015年)
リアム・ヤング

 

リアム・ヤングはオーストラリア生まれのアーティストで、デザイン、フィクション、そして未来の狭間にある空間で活躍しています。「New City」は、近未来のスカイラインをアニメーションで描いた一連の作品で、今も制作が続けられています。パノラマで撮影された世界中の写真が緻密に合成され、未来の都市のスカイラインを作り上げています。

「New City: Machines of Post Human Production」は、グローバルな取引インフラストラクチャを地球規模のコンベアベルトとして描いた作品です。この果てしない工場のフロアでは、人体も機械の一部に見立てられ、消費都市とオンラインショッピング配送センターを繋ぐ生産ライン、海運をこなす無人コンテナ船、無機的にうごめく無数の工業ロボット、そして地上を移動する大規模な掘削重機などを形成する1つの部品として並んでいます。